近年、自治会や町内会で世代交代を推進したいと考えても、後継者が不足しているのが現状です。
特に若い世代の参加が減少しており、中にはゴミ出し当番を怠る人も現れています。
他の地域では、このような問題をどのように解決しているのでしょうか？
残念ながら、自治会の役割を終了させることも検討すべき時期に来ているかもしれません。
自治会がなくなった場合、どのような変化が生じるのでしょうか？
実際に自治会を解散した地域も存在しています。
今回は、自治会がなくなることによって生じる５つのデメリットと、完全に廃止するのではなく規模を縮小して維持する方法について解説します。
自治会・町内会の廃止がもたらす事例と５つのデメリット
全国で自治会や町内会を廃止した事例を調べると、予想外に多いことがわかります。
リーダーの不在、イベントの参加者不足、会員数の減少など、さまざまな理由で自治会や町内会が困難な状況に直面しています。
自治会や町内会がなくなると、どのようなデメリットが発生するのでしょうか？
自治会や町内会の解散によるデメリット①地域のコミュニケーションとイベントの喪失
地域で行われていた様々なイベントが開催されなくなることが、一つの大きなデメリットです。
例えば、夏祭りの盆踊りや冬のどんと焼きのような季節行事は、これまで自治会や町内会が中心となって企画・運営していたため、これらの解散により自然消滅する可能性が高いです。
この変化は一部の住民にとっては解放感をもたらすかもしれませんが、地域住民との交流の機会が減少し、近所の人々と顔見知りになる機会が失われ、結果的に挨拶が交わされなくなることも考えられます。
これにより、地域社会の結びつきが薄れ、防犯上の問題も引き起こされやすくなります。
自治会や町内会の解散によるデメリット②防犯と防災支援の減少
二つ目のデメリットは、防犯や防災に関する地域協力体制が失われることです。
自治会や町内会が主導していた地元警察や消防との連携による防犯活動や防災訓練もなくなるため、「自助・共助・公助」という協力体制が機能しなくなります。
これは、地震や台風などの災害が発生した時に、地域住民同士の支援が得られなくなる大きなリスクとなります。
自治会や町内会の解散によるデメリット③防犯灯の管理と費用の個人負担
三つ目のデメリットは、地域内の私道に置かれた防犯灯の管理とその費用が個人の負担になることです。
これまで自治会や町内会が一括で行っていた電気代の支払いや電球の交換などの管理業務が、解散によって個々の住民に移行します。
その結果、それまで認識していなかった責任や追加的な費用が発生することになります。
自治会や町内会の解散によるデメリット④情報共有の手段喪失
四つ目のデメリットは、自治会や町内会が担当していた回覧板や地域掲示板がなくなることです。
現在はインターネットで多くの情報を得ることが可能ですが、インターネットに不慣れな高齢者など、情報アクセスに制約がある人々もいるため、これが大きな問題となります。
自治会や町内会の解散によるデメリット⑤廃棄物管理の劣化
五つ目のデメリットは、ゴミ出し場の管理が個々の責任に委ねられるようになることです。
これまで自治会や町内会が不適切なゴミ出しに対して取っていた対策がなくなり、地域の清潔を維持するための共同作業が難しくなります。
これにより、管理や協力の必要がある際に支えが得られなくなるため、個々人が直面する問題への対応が困難になります。
特に独身者や共働き世帯にとっては、役割が減ることが利点に感じられるかもしれませんが、同時に支援を得ることができないリスクも伴います。
地域ごとに異なる自治会や町内会の解散がもたらす問題は様々であり、全てを解散することが常に最善とは限らず、多くの新たな課題を引き起こす可能性があります。
【自治会の進化】完全解散ではなく、機能の縮小による負担軽減
自治会や町内会の活動が重荷と感じられたとき、すぐに解散を考えるのではなく、活動を縮小することを検討するのがよいでしょう。
自治会の活動を再考し、本当に必要な機能だけに絞ることで、組織を持続可能な形で維持できます。
特に、役員としての責任は重大な負担です。集金、会議の出席、ゴミ当番、地域挨拶、防犯パトロール、祭りの準備など、これら全てを一度にやめることは難しいかもしれませんが、徐々に負担を減らすことは可能です。
役員活動を簡素化することで、自発的に役割を負いたいと思う人も増えることでしょう。
また、回覧板は多忙な家庭やしばしば家を空ける家庭にとっては煩わしいものです。
現在、多くの高齢者もスマートフォンを使用しており、LINEやメールで情報を一斉に配信する方法が効果的です。
ゴミ当番の面でも、ルールを明確にして責任を軽くすることで、問題が解決し、当番の負担も少なくなります。
長く自治会に関わってきた人々にとっては、解散や縮小は心苦しいかもしれませんが、時代に合わせて組織を進化させることが必要です。
役員の負担を軽減し、自治会の活動を持続可能なものにしましょう。
まとめ
自治会や町内会には時として煩わしさを感じることもあります。
いくつかの地域では「自治会を解散しよう」との声が挙がっており、それにより何の問題もなさそうに思えるかもしれません。
しかし、自治会や町内会がなければ、日常生活で不便を感じることもあります。
そのような団体を存続させるためには、規模を縮小し、活動を最小限に抑えることが、現代の要求に応じた適切な対応と言えるでしょう。
